3Dプリンターを使ってカメラのレンズフードを作りました。
既成のレンズフードをつけた状態で可変NDフィルターの光量調整をすると とても不便なのでで指が入る穴を開けた可変NDフィルター用に設計し、3Dプリンタで出力してみました。
用意したもの
- 3Dプリンター
- パテ
- サンドペーパー
- 下地塗料 ・ミッチャクロン
- 塗料 ・艶消しブラック/艶消しクリア
3D データ作成
今回は LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 レンズのフードを自作するので本体の寸法を取って
そこに合うように大きさを考えていきます。
自作の狙いは可変NDフィルターをフード装着のまま簡単に調整出来るようにする、です。
可変NDフィルターは直接レンズに装着したフィルターを指で回して光量を調整するため、
フードの側面に指が入る穴を開けそこから調整をできるように設計しています。
穴の大きさとフードの高さ、レンズの直径等 意外とシビアな設計になっています。
ただ、操作性だけを考えているのでレンズフードとしての本来のレンズフードとしての機能性は…わかりません。少なくともレンズ保護の機能は充分に満たしているので良しとします。
これでデータは完成です。
次はこれを実際に3Dプリンターで形にしていきます。
3Dプリンターで出力
作成した3Dデータを3Dプリンターに取り込んで出力します。
フィラメント素材はABSを使っています。ABSは収縮率がPLAと比べ高いので出力は難易度が高いのですが、表面の研磨等の加工性が高いので出力後に加工やと塗装をする場合はPLAよりもABSがおすすめです
出力が完了したので台からスキージを使って剥がします。
因みに穴の手前に見えるのはサポート材の柱です。FDM方式( 熱溶解積層方式)の3Dプリンターは横穴の造形に弱くサポート材を立てないとできません。材料の無駄が出ますが仕方ありません。
表面研磨作業
出力が終われば先ずサポート材を外して研磨していきます。
サポート材を外すときはパリパリと気持ちよく外すことができます。
ただ 残念ながらサポート材を外すとその部分は凸凹で決して綺麗とは言えません。それをひたすらサンドペーパーなどを使って均していきます。
かなり面倒ですが仕上がりを左右するのでここで手を抜くことはできません。
パテで傷へこみを埋める
一通り研磨して均し終えたら 次は傷等をパテで埋め、より表面を滑らかにしていきます。
モリパテは主剤と硬化剤の二種混合タイプのパテなのでパレットペーパーの上で混ぜて使います。
独特なツンとした匂いがします。結構苦手なにおいですが我慢しながらパテを盛っていきます。
傷等にヘラでのせて伸ばします。
一通りパテが盛られたら乾燥させます。乾燥機に入れて乾燥させました。
これは食器用乾燥機として売られている物です。ネットで塗装やパテの乾燥にとてもいいと評判になっていたのですが評判通り、かなり良いです。
再び表面を均す研磨作業をしたら 塗装工程に入ります。
塗装工程
塗装はラッカースプレーでします。
下地塗装をしてから黒マット3回、クリアマット2回 の順で
それぞれ塗布 乾燥を繰り返して完成させます。
下地処理は定評のあるミッチャクロンを使っています。塗料の食いつきが抜群です。
大抵の塗装下地はこれで足ります。
カメラ本体の金属部分と同じように梨地塗装のようにしたかったのでマットブラックのラッカーを近めから荒く吹いて凹凸感が出るように狙ってみました。仕上げは艶消しのクリアを吹き付けて完成
狙い通り凹凸のあるマットな質感に仕上がりました。
これで完成です。後はレンズに装着します。
装着して完成
レンズに装着します。設計通りピッタリ
次に可変NDフィルターを装着、因みにこんな感じでフィルターの淵を回転させると光量を調整できます。
装着が完了、指が入るので調整も楽にできます。
実際にカメラにつけて全体のバランスを見るとこんな感じです。
なかなかの存在感です。穴の見た目も機能的に見えるのでそこまで変ではありません。
ファインダーを覗きながらの調整も簡単にできます。
正面から見てもこれがなかなかカッコよく出来上がりました。
自分仕様に作る事ができてこの質感なら外で付けてても恥ずかしくなさそうです。
- 設計の段階で間違うと 取り返しがつかないので先ずはキッチリ設計
- 3Dプリンターで出力するときは素材の収縮率を考慮することを忘れずに
- 研磨作業を怠ると仕上がりに影響が出るので研磨&パテ盛り作業はしっかりと
- 塗装でやりがちな失敗は乾燥を待てない事です。確認で触って跡がついたりします。
- すべての工程で言えることは地味な作業が多くひたすら続く作業ばかりです。とにかく頑張ることです。